夜がはじまるその前に
酒がある所には、よく喋る男がおり、よく喋る女がいる。
大阪では特にあり得ることだ。
僕もよく喋るが時と場所によっては、というか今ただの静かな男をやっている。今の僕は静かだ。大阪では静かな男はイコールくだらない男だ。だから、僕は今くだらない男をやっている。
下らない場所にいる下らない僕。安い酒を飲むならそれを甘んじて受け入れなければならない。僕が今いるような立ち飲み屋、激安居酒屋では安い場所でしか飲めない人が集まる。みんな金がないし、僕もないから仕方ない。
僕は1人でいる時は贅沢しない。そもそも、1人でいるなら立ち飲みだって豪華なものなのだ。周りを見渡してみよ、どうやらここはおっさんの天国だ。
若い女が1人いればそこは最上級の天国に変わる。1杯400円程度の酒を注文し、若い女に飲ませればたちまち我々男は王様になれる。おっさん天国に若い女は、ビールに餃子をやるくらいに最高なのだ。しかし若い女という哺乳類の寿命は全哺乳類の中で最も短い。
おっさんはある時期からかなり長い間おっさんという生き物だ。僕もそのように進化する。いつか、若ければ可愛くなくともバカでも何でもよくなるだろう。おっさんはそういう生き物だ。
僕は隣にいる女に見向きもしない。一瞥しただけで、目を合わさないでおこうと決めた。今晩の僕は本当にくだらない。くだらないのはこの立ち飲み屋にいる間だけであることを祈って、次は焼酎ウーロンをください。最近太ってきて困っています。
今から自分のバーに戻って、バイトで雇っている方とバトンタッチする。バーが盛り上がれば良いけれど十日えびすが過ぎれば暇になる。今日はどうなるだろう。
バーが終わればどこかへ飲みに行くだろう。
昨晩は少し良いワインを二本買って、小さな光の中で寂しくない夜を過ごした。
今晩も寂しくない夜を探す。
とりあえず、もう行かなきゃダメなのは分かっているけど、もう一杯ください。
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