100回目のエントリー

15年ほど前は、眠れなくてよく朝まで起きていた。僕にも眠れない時代があったのだ。

やることもないのでカーテンに身を包みながら窓から朝を見つめてぼんやりしていた。
深夜で迷惑になるから、ギターを弾きたくても弾けなかった。仕方がないのでマンガや小説を読んでいたがずっと読んでいるのは飽きる。

朝方は神聖な気持ちがする。僕は純粋でいられる気がした。
いつかこの気持ちもなくなるのだろうと思いながらも世界は美しかった。

今も力尽きるまで飲んでいるだけで、あまり変わっていないのかもしれない。


僕が酔っている時に、服をひっぱりながら「あなたは寂しがり屋」なんて、これ以上言ってくれるなと思う。
自分でもそうだろうと思っていることを他者に言われるのは見透かされているような気がする。

帰ると言って別れて、結局他の店で飲みなおす夜はざらにある。



底だまりしたオールドクロウを一気に飲み干した時、夜が終わりそうなのに気付いた。
酒クズにとって夜中二時を過ぎれば朝まではあっと言う間だ。
会計する手はまともじゃない。


あなたは寂しがり屋…夜明けの街を歩きながらそう呟く。

何度も繰り返し浴びてきた朝の光に戸惑う。


二時に全てのバーが閉まってくれなければ、僕は酒を飲み金を払うだけのマシンになる。
翌日は眠り続ける肉塊だ。

朝には駄菓子屋で小遣い使い切ったガキの頃の気持ちが蘇ってくる。



そうだ、僕は酒を飲み、女を抱かないと生きていけないんだ、とでも言い返せば、愛してくれると言うのか。

今まで生きてきた全てのことを忘れて、息の詰まるほど激しいセックスをさせてくれるとでも言うのか。

僕は、誰も愛せなくとも、愛されることを望む悪い心をどう補完すればいいのか知らないだけだ。




優しかった女たちは今はどこにいるのだろう。

優しくなかった僕を忘れて、今頃はどこで何をしているのだろう。

僅かな感傷が心の中を吹き抜けるがそういう類の感情はただの気まぐれに過ぎない。しかしこういう気持ちが離れない夜がある。


物心つく前から存在していた誤りを埋めるために生きている。

人生は終わらない帳尻合わせだ。

僕は孤独な夜に酒を飲み、人生に暇潰しを求め、全ての女は去っていき、ビールは美味いものだと知っている。

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