いま少しだけ遠くへいきたい
ぼくが悲しいとき道行く人は悲しそうに見える
ぼくが楽しいとき彼らは楽しそうに見える
人が最もすれ違う場所で孤独が深くなっていく
ぼくは何も考えずぼんやり立っていた
大衆の中に人格が存在しないと感じたときは
きっとぼくから人格が出て行っているとき
子供の頃みんなから除け者にされていた妹を思い出す
君が今日まで生きていたのなら
ぼくらは今頃、友達のように話せただろうか
それはもう分からない
この世界で再会することはもう叶わないのだ
アイスランドで妹が見たがっていたオーロラを見れば
また会えるかもとか思っていた
ぼくは馬鹿だよ
何度も怖い夢をみながら
自分に同情しないように生きてきた
自分を救うために生きてきた
強くなるためにいくつものエントリーをしてきた
永遠に終わらないこの二日酔いみたいな人生で
小説を読んだり書いたりする作業がぼくを救ってくれた夜がある
女の暖かさが、意味もなく傷ついているぼくを癒してくれた朝もあったし
女の鼻歌がドヴォルザークより美しいと感じた昼下がりもあった
誰かが、男と女は永遠に分かりあえないと言う
ぼくはそんなこと死ぬまで知らないでおきたかったと思った
だけど悲しい事実は他にいくつもあるのだし
それだけ回避して生きてはいけないのだろう
いま少しだけ遠くへいきたい
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