深夜即興詩
人からレンタルビデオ屋の会員カードを借りて、あるビデオを探しにきました
急に昔好きだったアニメが観たくなったのです
そのレンタルビデオ屋はあまり行ったことがありません
目的のアニメがなかなか見つからないので探し回りました
赤い服をきた女の人がぼくより先にアニメコーナーにいました
ぼくの目的のアニメはそこにありませんでした
だから別の棚にあるのだと思って移動すると
ぼくより先に移動していた赤い服の女の人がいました
女の人はぼくに気付いて怪訝な顔で観ます
都会はストーカーであふれていますので
きっとぼくが恐い人に見えたのだと思います
ぼくは繊細に見られる若者ですが
本当はもっと繊細です
何となくヒューマンドラマのコーナーに移動したら、なんとその人はまたいます
何度も他の棚へ行く度、その人は先回りしています
ぼくが恐くなったほどなので、赤い服の女の人はもっと恐かったことでしょう
ぼくはこれ以上怪しまれたくないのでアダルトコーナーにいきました
ここにも女の人が先回りしてたらアダルトな行為をぼくがしても女の人は文句言えないだろ、と一瞬だけ、一瞬だけ、一瞬だけ思いましたがさすがにそこにはいませんでした
アダルトコーナーでは新入荷のアダルトビデオはほとんど借りられていました
ぼくは、いけないことですが人から借りたカードを持っています
ひどく汚らしいアダルトビデオを借りて、貸してくれた人の元へ持って行けば笑ってくれるかなと思いましたが、それは本当に怒られそうなのでやめました
そういう妄想がすんだ頃、もういいだろうとたった一本のアニメビデオを手にとりカウンターに持って行くと、なんと赤い服の女の人もカウンターで受付の最中でした
途中でぼくに気付いて、やはり怪訝な顔になります
その女の人に「そういうわけではないのです」と言ってあげたいのですが、それは自意識過剰な気がしてぐっと抑えました
店員さんはぼくの繊細な心の事情も知らず、ぼくに「一週間のレンタルでよろしいですか?」と聞きます
一泊で良かったはずなのにぼくは「はい一週間で」と言いました
一本のアニメを観るのに一週間かける人がどこにいますか
店員さんの名札の下側には「好きなアーティストはaiko」と書かれていました
そういえばaikoが好きという女の人はナンパが成功しないと言われますね
だからこのような堅い女の人との恋愛ができる男の人は恵まれているような気がしました
気付けば赤い服の女の人はいませんでした
外は寒いですね
雨上がりは少し寂しいです
毎年のことですが、今年もまた冬がきます
そうだ今年は秋がなかったとか皆様よく言われておりますが
ぼくが先日デートした人は秋に生まれた人です
だから秋はありました
そう言ってまわるには外は深夜2時で遅すぎる
ああ、そういえばぼくは洗濯機を回したのに洗濯物を干さずに家から出てきたなぁ
繊細なぼくはまた洗濯機を回したらいったいどれくらい洗濯物が傷むかなぁと思って家路につきます
ああ、息はまだ白くない
白くないってことはまだ秋です
皆様まだ秋です
季節限定のお菓子のように
秋は人を詩人にさせる
秋はうんと切なくなれるのでぼくは秋が好きです
先日デートした人
ぼくを好きにならないだろう
秋
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