命を燃やせ
どれだけ楽しいもので周りを埋めていこうが、決して埋められない傷を持っている。
孤独とはもう少し違ったものかもしれない。
交友関係に影響を与えるほど酒を飲み散らかす日もあるのだから、なにか精神的に問題を抱えているのだろう。
ヤケ酒した翌日などはただぼうっとしているだけで悲しい思い出が孤絶とともに押し寄せてくる。飲んだ翌日、気が沈むのはナントカいう成分が不足するからだそうで、酒飲み全員に言えることなのだろうが根がネガティブなうえに嫌な過去も多いからダメージは余計に多い。
もとより業の深い男なのだ。
暑い日は小便の匂いで蒸し返す故郷。
浮浪者たちの気が狂って度々起こる暴動。
寒さと飢えで死んで、包まっていた布団から血の気の引いた足首を見せる浮浪者。
薬物のやりすぎで死んだ友人。
売人をしていて、警察から逃げる途中で電車に激突し死んだ友人。
身よりもなく死んだ友人。
夢半ばで死んだ友人。
女を奪われ絶望して死んだ友人。
妹。
父。
全ての死体がベルトコンベアで運ばれていく。
燃え尽きた心は今も終わらない夜をさまよっていることだろう。
灰になった肉体を前にして人間とは何か考えだしたら終わりだ。
人間死ねば燃えるゴミ。彼らを想った後、自分を見つめると惨めで苦しくなる。
全て死のせいにして生きることの侘しさ。誰もそこからは救ってくれない。
自分だけ救われようとして、どれだけ飲んで、何人抱いてきただろう。
僕は思う。僕はよく頑張った。十分に頑張った。逃げてきただろうけど、立ち向かった時もある。間違えていただろうけど愛してきただろうし、愛されてもいただろう。
自分が死んで誰かが泣くうちは死んではならない。
自分が死んで誰かが泣くうちは死んではならない。
自分が死んで誰かが泣くうちは死んではならない。
自分が死んで誰かが泣くうちは死んではならない。
次々とベルトコンベアで運ばれていく身体たちを前にして、苦しくて死にたくなっても死んでは駄目だと何度も何度も言い聞かす。
自殺するくらいなら復讐しろ。
聖者になるには早すぎる。
今はただひたすらに命を燃やせ。